2013年12月12日木曜日

僕らの求めていたDesktop Linux (Linux Mint Advent Calendar 12日目)

 どうも、島田です。今回は Linux Mint の Advent Calendar ということですが、ほた(@lindwurm_)さんが凄く頑張っていらっしゃるのを見るだけではなんなので・・・ということで、僕も何か書いてみようかと。そんなノリでの寄稿です(すみません...)。

 さて、いきなし昔話ベースで恐縮なのですが、今回は「僕らの求めていたDesktop Linux」ということで、何故今 Linux Mint なのかという点をちょっとした歴史追いから案内していこうかと思います。なお余談記事なのでツッコミはお手柔らかに。

 Linuxディストリビューション(以下ディストリと訳します)は、優れた食材を詰め合わせ、幕の内弁当のように提供するタイプのソフトウェアであると言えます。具体的には、LibreOfficeやFirefox、GIMP などの優れたフリーソフトウェアを使いやすくカスタマイズしメニューに組み込み、インストーラ(やLive CD)という形で、利用者に使ってもらいやすい環境を提供します。なので見た目や導入しやすさ、サポートやノウハウ等が人気に直結します。特に Desktop Linux は利用者の感覚に直接触れる部分ですので、同じソフトウェアでもディストリが違うと、異なる評価が飛び出してくるのも特徴でしょう。

distrowatch の一番人気から...

Desktop Linux の人気は時代によって変わってきました。

 さらっと見たところディストリ別のシェアのデータは持ち合わせてないのですが(すみません)、distrowatch のページヒットランキングでは、2004年以前のトップが Mandrake (現 Mageia / OpenMandriva )、2005年から2010年までのトップが Ubuntu という結果になっています。

( from Ubuntu sees massive slide in popularity, Mint sprints ahead ... but why? )

 もちろんページビュー基準で見ている統計なので、それが人気やシェアに直結するわけではありませんし、実数をまったく示していません。しかし、長い間 Linux ディストリビューションを見つめ続けてきた distrowatch の数値は一種の指標になっています。

Mandrakeの時代 (2001年~2004年)

僕がDesktop Linuxを触りだした時は2000年代前半であったような記憶があったのですが(もっと前かも?)、割と色々なディストリを渡り歩いていたときに、「お、これは!」と思ったのが Mandrake だったのです。

 当時、GNOMEやKDEが成熟し、Mozilla 等、今に知られるフリーソフトが次々に登場した時期でした。しかし、色々な作業を簡単にこなせて、かつ、デザインも良いディストリビューションというのは当時それほど無かったと記憶しています。そして、フランス育ちの Mandrake はそれに合致していたのです。蒼くクールなデスクトップを見て、Windowsからの乗り換えを決めたぐらいでしたから。

 RPMベースでありながら使いやすいパッケージマネージャも大きな特徴でした。

( Mandrakelinux 10 のスクリーンショット by Wikimedia commons )

 ただ、人気があるといってもあくまで世界的(というか欧州中心)な人気であったので、国内ではそれほどメジャーではありませんでした。日本のコミュニティは小さく、ちょうどMandrake固有の翻訳で頑張ってた方が数人いらっしゃった程度であったと記憶しています。

 ちなみに、その後 Connectiva と合併し Mandriva となり、また色々経緯があって現在は MageiaOpenMandriva  となって今に至ります。(ちなみに2013年現在、 Mageia がトップ2に入っているのは、今でも Mandriva 由来の人気が高い証拠だと思います。)

Ubuntuの時代 (2005年~2010年)

ご存知の方も多いと思いますが、後の世代になると、頭ひとつ飛びぬけた存在が現れました。 Ubuntu のことですね。


Ubuntu 5.10 のスクリーンショット by Wikimedia Commons )

 茶色を主体にしたシックなインターフェイス、GNOMEでありながらシンプルなUI、そして定期的な新バージョンリリースは、瞬く間にディストリ業界を Ubuntu 色に塗り替えました。

 CDの無料配布、各種WMユーザ用のディストリビューション(Kubuntu, Xubuntu, Edubuntuなど)、LTS版による長期サポートといった施策も多くあり、「LinuxといえばUbuntu」というイメージもこの頃から触っている方にはあるかもしれません。実際、この頃は僕もUbuntuを使ってました(途中から Xubuntu に乗り換えましたが...)。

 日本でも関連書籍が多くリリースされる等、高い人気を誇っています。また、日本のUbuntuコミュニティは現在、日本のDesktop Linuxシーンを牽引する存在であるとも言えるでしょう。

Linux Mint の時代 (2011年~)

しかし、Ubuntuは十分力をつけたところで冒険を始めました。Unity インターフェイスの登場とデフォルト化は、これまでのインターフェイスを好む利用者に、賛否を巻き起こすことになりました。

 そこで・・かどうかは不明ですが、近年頭角を現してきたのが Linux Mint です。Linux Mint 自体はマイナーでながら昔から存在したそうなのですが、近年多くの支持を集めるようになってきました。Ubuntuベースでありながら、派生ディストリの範疇ではなかなかできない、独自の考えを多く採り入れています。これまでのインターフェイスを基本にしつつ、よりベターを目指す Cinnamon 等が特徴的です。


( Linux Mint Cinnamon のスクリーンショット )


 恐らくはぱっと見は、おなじみの構成なので驚きは少ないかと思いますが、メニューを開いてみると進化を感じると思います。メニュー内では、クリックせずマウスムーブだけで、何の機能があるかが直感的に判ります。

 デザインから見ても落ち着いた緑色で、 黒基調のメニュー画面とマッチしているように感じられます。この頃デザイン思考の壁紙をデフォルトに持ってくるディストリが多い中、あえてシンプルに Linux Mint であることを主張する壁紙も印象的に見えます。

 もっとも、標準のイメージ(nocodecs でないもの)では libdvdcss が付く等、日本における Desktop Linux の常識に合わない部分があったり、日本語入力をするためにノウハウが必要である、CinnamonやMATE版などの選択がし辛い名等、ツッコミ点は未だ散見されます。しかし、日本のコミュニティも活発になりつつありますし、さらに翻訳や日本語対応などの点も、何らかの形で解決されていくものと思います。
 

まとめ

おそらくコンピュータの使い方は世代により異なり、 UNIX Shell に慣れた方から Android のタッチUIに慣れた方まで様々でしょう。なので、いずれのディストリも万人にウケることはできません。

 では、Linux Mint はといえば、Windows 95世代のウィンドウUIに慣れた方にとって、今、もっともベターな Linux ディストリの一種であり、該当するLinux環境をお探しであれば、試す価値があると僕は思います。そして、Desktop Linuxとして日常的な利用に耐えうる存在であることは、distrowatch の人気から見ても感じていただけるかと思います。

 そんな Linux Mint の助けになれば...と思うのですが、 後々開拓していくと致しましょう。

  次稿では、そんな Linux Mint を仕事で使う Tips あれこれをご紹介できればと思いますが、とりあえず明日はほた(@lindwurm_)さんにバトンをお渡ししようと思います。また後ほど。 

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